2018年3月31日土曜日

〔地方〕名古屋大がクラウドファンディングやってたから寄付してみた


名古屋大が面白い取り組みをしていたので、記事にしてみました。


【名古屋大がクラウドファンディングで大会出場のための資金調達】

名大のESSの方たちが、下記のページにて、Asian BPの大会参加費を募るため、
クラウドファンディングに挑戦しているようです。

名大生の挑戦!英語ディベート大学対抗アジア大会へ参加したい!



今井君に直接話を聞かせてもらったところ、名古屋大自体がクラウドファンディングによる資金調達を活用できないか、という試みを考えており、名大ESS含む4団体が今回クラウドファンディングに挑戦することになったらしいです。

NHKにも取り上げられていました。

名大がクラウドファンディング


【実際に寄付してみた】

個人的に地方大に頑張ってほしいと思っている身としては、これはぜひとも応援したいと思い、実際に寄付してみました。

結論から言うと、意外と手続き簡単で、あっさりと寄付できてしまいました。

寄付までの流れを簡単に参考までに。



〔寄付の流れ〕

大まかな寄付の流れは以下の通り

① アカウント登録

② 寄付額とギフトの選択

③ 支払情報の登録

④ 確認・コメント入力



<①アカウント登録>

大きく「メールアドレスからの登録」と「Facebookからの登録」

今回私は、fbの方から登録したところ、一瞬で登録完了。




<②寄付額とギフトの選択>

クラウドファンディングにもいろいろなタイプがあるのですが、今回名古屋大が利用しているReady forというサイトの「寄付型」タイプのサービス。

「寄付型」とは「あるプロジェクトに対して支援者がお金を寄付をする仕組みのクラウドファンディング」らしいです。

詳しく知りたい方は、以下のサイトなんかわかりやすくまとまってます。

クラウドファンディングとは|種類や歴史、メリット・デメリットまで



基本的に寄付なのでリターンは発生しないのですが、寄付額によって簡単な御礼が頂けるようです。




今回私は\5,000分の寄付をしてみたので、ポストカードセットがもらえるみたいです。



<③支払情報の登録>

支払いは「クレジットカード」か「銀行振り込み」で可能でした。

これも情報登録してしまえば一瞬。





<④ 確認・コメント入力>

必要な情報を登録すると、確認画面が表示されるので、問題なければOKボタンを押せば支援完了。

簡単なコメントも記入できるので、応援メッセージを書いておきました。




ちなみにこのプロジェクトはAll or nothing形式と呼ばれる形式で、目標金額を達成して初めて寄付が成立するそうです。

そのため、支援完了時点では支払いが発生せず、プロジェクトの成功(目標金額の達成)をもって、支払いが発生するようです。




【これからの資金調達】


というわけで、ディベート関係でクラウドファンディングの取り組みは、私の知る限り初めてなので、ぜひ成功していただきたいです。

こういった先進的な取り組みが地方大から出てきているのが、個人的にとても嬉しいです。


当プロジェクトは、目標金額 \300,000のところ、すでに\200,000ちかく達成しており、あとひと踏ん張りで達成となるので、応援したいなと思われた方は、ぜひ応援してみてください。

今後ディベート界でも活用事例が増えて、クラウドファンディングで調達した資金をもとに多くの人が新しいことに挑戦したりという機会が増えると良いですね。

ということで、みなさんご支援の方どうぞよろしくお願いします。

名大生の挑戦!英語ディベート大学対抗アジア大会へ参加したい!


本日の記事は以上です^^

2018年3月21日水曜日

〔大会運営〕The 関西 2018で話題になった大会ルール上の3つの論点(修正あり)


3/17、18に行われたThe 関西2018における、大会ルール上の論点について、簡単にまとめてみます。

参加者として把握できた範囲でのまとめとなります故、過不足に関してはご容赦ください。

なにかご意見・ご質問等ございましたら、お気軽にTwitter(@54321Jt)かその他SNS等通じてご連絡下さい。



本日のお題は3つ。

① 2日目からのジャッジ参加を認めるにあたり、どのような条件を設けるべきか

② ブレイク最下位に複数チーム存在し、勝ち数・Speaker Scoreが同一の場合、どのようにブレイクチームを決定すべきか

③ Equity Violationに対する再発防止を参加者から要求されたにも関わらず、Equity Violationが再発してしまった場合、Equity Officerはどのように対処すべきか



① 2日目からのジャッジ参加を認めるにあたり、どのような条件を設けるべきか

これは先日のディベすすにて少し話題になり、私もざっくりとした記事([大会運営]ブレイクラウンドだけジャッジ参加ってオッケーなの?)にて私見を書いたのですが、本大会にて新しいルールが設定されました。

それは、「2日目から参加するジャッジに関しては、ジャッジされるディベーターの同意を必須とする」ということ。

非常にシンプルですが、たしかにこのルールであればジャッジされるディベーターから不満が出ることもなく、上手いこと大会がまわせる良いルールだと思いました。

個人的には当ルールが定着することを望みます。



【② ブレイク最下位に複数チーム存在し、勝ち数・Speaker Scoreが同一の場合、どのようにブレイクチームを決定すべきか】

この件は、本大会ブレイク枠がメイン:12、ルーキー:4のところ、メインの12位およびルーキーの4位に勝ち数・スピーカースコア同一のチームが2チームあった、というところに端を発しています。


結果として、マージンの大きいチームをブレイクさせるという対応で決着しましたが、いろいろと議論になったようです。


そもそも上記のような事態になった場合の対応があまり明確にではなかったため、1日目の夜にACの間で議論されたそうです。

主に出た案としては、
・マージンの大きいチームをブレイクさせる
「コイントスで決めるか、マージンで決めるか」をコイントスで決める(修正)

最終的に上の案で決着したわけですが、ACの中でもかなり議論・葛藤があったようですので、今後ACをやる方は方針を事前にすり合わせておく必要がありそうですね。


あの時点での決断としては最適解だったと思いましたし、何よりACの形が本当に真剣に検討し、参加者に向けて真摯に説明していた姿勢がとても印象的でした。

今後マージンという基準の妥当性や、代替案に関して検討が進むと良いですね。

個人的には、マージンより納得感が高く、参加者も楽しめる代替案が良いな、なんて妄想をしてまいす。

極端な話、何らかの形でサドンデスやるとか。大会のスケジュール上現実は難しいかもしれませんが。。

当事者の合意に基づいて、複数オプションのなかから選べる、なんてのもアリかもしれませんね。



【③ Equity Violationに対する再発防止を参加者から要求されたにも関わらず、Equity Violationが再発してしまった場合、Equity Officerはどのように対処すべきか】

〔経緯〕

本大会で一つ大きな話題になったのが、Equityに関する話。

ここで便宜的に申請者をAさん、被申請者(AさんからEquity Violationを起こしたと申請された人)をBさんとします。

あらかじめ記載しておきますが、本件で精神的苦痛を受けたAさんには大変残念だという思いを持っていると同時に、本記事によってAさん(およびEO)を非難する意図は全くない、という点を強調しておきます。

また、本件をぶり返して責任の所在を明確にする、という意図もなく、EOの皆様とAさんの間で出された結論を尊重致します。

あくまで、今後の再発防止とEOという制度が定着し、運用がスムーズになればとの目的で書いてます。



私の把握している範囲で簡単に経緯をまとめると以下の通り。

<経緯>
・大会当日の朝、参加者AさんがEquity Officer(以下EO)にEquityに関する相談

・その後、Equity案件が発生。これを受け、EOの監督責任の不履行をとがめるEquity Violationが申請(EOがEquity Violationの申請対象となってしまう)。また、他のEquity案件の対応と比較し、不公平感を抱いたとのこと

・事態を重く受け止め、EOがfacebookページ上にて”監督責任を果たせず、再発防止が出来なかったため”正式に謝罪。今後一切EOに就任しないとの発表

・コメント欄にて質問や議論が発生



〔Equity Officerの責任範囲〕

上記の流れの中で一つ議論になったのが、「Equity Officerを今後一切やらないというのは重すぎないか」という点。

Aさんのプライバシーの保護の観点から詳細な経緯は発表できないとのことなので、結論から言うと重すぎるのか妥当なのか判断できない、というのが率直な感想です。

ただ、少し一般化して考えてみるというのは、今後同様の事案が発生した際に参考になると思うので、少し書いてみます。


〔”監督責任”と”結果責任”は異なる〕

事前相談があったにも関わらず、Equity案件が再発してしまったというのは非常に残念な事態ですし、Aさんの苦痛緩和のために可能な措置は取られるべきだという認識です。

一方で、本件の責任が一概にEOにあるのか、という点は検討の余地があるのでは、とも考えております。

それは、本件EOが責任を認めている理由が”監督責任を果たせず、再発防止が出来なかったため”という理由ですが、必ずしも”監督責任を果たす”=”再発防止出来なかった場合、必ず責任を取らされる”ではないのでは、と考えているからです。


〔EOの責任〕

JPDUのEquity Policyを参考にするとEquity Officerの義務に関しては、以下の通り規定されています。(太字筆者)

(B) Equity Officer の義務と権利
・Equity Officer に就任した者は、原則大会終了ないし大会関連の問題解決が終了するまで 任務を遂行する義務を負う
・Equity Officer は大会中常に参加者の相談に真摯に応じる義務を負う
・Equity Officer は参加者からの Official Complaints を精査し、必要に応じて調査する権 限を持つ。
・ただし、以下の場合 Equity Officer は該当事案における Official Complaints の精査権及 び調査権を失う。
1 Equity Officer 自身が原告ないし被告として問題の当事者となっている場合。
2 Equity Officer が原告ないし被告と Personal Conflict を持つ場合。

(引用:JPDU Equity Policy

上記踏まえると、EOの責任は大きく2つ。
大会終了ないし大会関連の問題解決が終了するまで 任務を遂行する義務
大会中常に参加者の相談に真摯に応じる義務

なのでEOが責任を取るべき状況は、「問題解決が終了するまで任務を遂行しなかった」「大会中常に参加者の相談に真摯に応じなかった」のいずれかの場合になります。

今回外から判断が難しいのは、Equity案件が再発してしまったのが、EOの故意/過失によってなのか否か、という点。

さらには、EOの責任以前に、Aさんを不快な思いをさせてしまったBさんに責任はないのかもセットで考慮されるべきだったかもしれません。


EOが怠慢で必要な措置すらとっていなかったのであれば、今回の判断は妥当かもしれません。

EOが最初に相談を受けた後、必要な措置を取ったうえで再発してしまったのであれば、それは一概にEOの責任とは言えない、ということもありうるかと。

例えば、EOが警告したのにも関わらず、Bさんがそれを無視したのであれば責任はBさんにあるということになりますし。

難しいのが、”必要な措置”が今回Aさんが想定していたものと、EOの実際の対応の間に差があったというところでしょうか。

その辺りは、導入されてまだ日が浅いEquityの適用事例の蓄積がほとんどされていない、という部分に起因するところもあり、より一層この問題を難しくしているところだと思います。

〔Equityについてまだまだ課題が山積み〕

本件を少し考えるだけでも、Equityという制度として、ルールが不在だったり、認知が不十分な点が多く見受けられ、課題が山積みというのが現実です。

ざっと思いつくだけでも、

・そもそもEquityの適用される事例・場面はどのようなものなのか

・EOは問題解決にどこまで責任を負うべきか

・EO自身が申請を受けた場合、誰がどのような手続きで解決すべきか

・EOの過失により問題が発生した場合、EOはどのように責任を取るべきか

・EO選出における基準・プロセスはどうあるべきか

・EOと関係者の間に何らかの力関係(先輩⇔後輩、社会人⇔学生、等)が存在する場合、守秘義務を持つEOは独立性を担保するか、外部へどのように助けを求めるべきか

などなど。

こういったルールやノウハウが少しずつ蓄積・共有されると良いですね。


〔それでもEquityという制度は必要〕

Equityという制度自体は大会参加者が大会を楽しむために必須の制度ですので、時間はかかりますが少しずつ改善していくしかないんですよね。

簡単に思いつく範囲でも、以下のような取り組みは必要になってきそうですね。

・ルールの具体化
 -関係者の個人情報を考慮した上での、国内事例の蓄積
 -海外の規約・事例を参考にしながらルールや運用方法を具体化

・Equity Officerの育成
 -Equity Officer経験者によるノウハウの蓄積
 -国際大会(QDOやICUT等)において海外からEquity Officer経験者を招待(現実的にはジャッジと兼務?)

などなど。

いずれによ、まずはEOという役職の重要性に関してコミュニティ内での認識を形成した上で、ルールを改善していく必要があるかと。

あとは前提として、あくまで望ましいのは当事者間での解決でありEOというのは当事者間で解決できない問題の解決のサポート役でしかないため限界もある、ということも認識した上で、上手くEOを活用できると良いですね。



以上です。

改めて、本大会のコミ、ACならびにジャッジの皆さまはお疲れ様でした。
久しぶりの大会を楽しめたのも皆様のおかげです、ありがとうございました、という個人的な御礼にて、本記事の締めとさせて頂きます。




2018年3月3日土曜日

〔コラム〕Leiden回想録 ④ ~ 全てはインプットから始まる ~


以前の記事〔コラム〕Leiden回想録 ③ ~ 英語力コンプレックスをこじらせて ~にて書いたように、英語力でオランダ人含むヨーロッパのディベーターと競うのは、あまり分が良くないということを悟りました。

それを踏まえて、練習の方向性として、

「英語力を今以上に向上させることは諦めて、ディベートの技術や知識量で差別化を図る」

という方針を立て、がらりと練習方法を変えてみました。


【インプットは基本日本語で】

以前の記事でも書いたように、一時は英語力向上のために、インプットは基本的に英語にして、日本語は生活の中から排除するようにしていました。

しかし、英語力の向上はもはや諦めたので、知識のインプットは日本語で行うことにしました。

理由は単純で、日本語の方が情報の処理速度が速く、かつ知識の定着がスムーズだからです。

英語で文章を読んでいても、いちいちわからん単語が出てくる度に調べたり、日本語で文書を読むのより遥かに時間がかかります。

日本語で情報が取れるものは日本語で、それ以外に英語で読まざるを得ないものは英語で、というように使い分けていました。


【何をインプットしたか】

まずやったこととしては大きく2つ。

「ディベート技術のインプット」と「知識のインプット」です。

ディベート技術のインプット

まずは、ディベートそのものやディベートの技術について学べる日本語の教材が無いか探しました。

こういう時はひとまずJPDUのサイトを見るのが速いかなと思いながら、JPDUのセミナー資料が載ってるページ(http://www.jpdu.org/?page_id=23)を訪れました。

結構たくさん資料が揃っているので、何を読んでよいのかわからなかったのですが、ひとまず全部読んでやろうと考え、とりあえず全部ダウンロードしました。

家にプリンタが無かったため、図書館に行ってプリンタ利用のためのカードを購入し、全資料をプリントアウトして帰宅。


あまりの量の多さに読む気が起きなかったので、「明日から本気出す」と鋼の意思で決意を固め、ひたすらアニメを観てました。

その日はそのままベッドにダイブして、安らかな眠りにつきました。

「明日から本気出す」の画像検索結果



知識のインプット

(A) 新書の乱読

知識のインプットとして、まずはディベートによく出てくる概念に関して、いろいろ勉強しようと思い、本を買おうと思いました。

しかし、オランダで日本語の書籍はなかなか購入するのが難しく(あってもめっさ高い)、どうしたものかと。

オランダの食事に嫌気がさし、和食の禁断症状が出て手が痙攣し始めたため、7月に一時帰国することにしたので、その際に本をまとめて購入しようと考えました。

帰国して本屋に行き、とりあえず気になった本は全部買いました。

合計30~40冊くらいは購入したと思います。

たぶん半分くらいは読まれずにただのインテリアと化しました。


(B) ケースファイルの作成

ケースファイルを作ろうと思い、まずは既存の資料をしっかり読み込もうと考えました。

最初は主に2つ、日本にいた頃に先輩と作っていたリサーチ資料と、Leidenの共有フォルダに保管されていたケースファイルを読み込むことにしました。

Leidenの資料は英語で書かれていたので、こればかりは仕方ないので英語で読みました。



【なぜインプットが重要か】

とりあえずインプットをしようと思ったのには、2つ理由があります。

"Read a lot"

1つは、以前の記事にも書いたのですが、Leidenの強いディベーターの1人が"Read a lot"と言っていたのがとても印象に残っていたからです。

強くなりたければたくさん読め、と。

確かに彼含め、上位層の知識の広さと深さは並外れたものがありました。

例えば、彼はアメリカのどの州で何年にgay marriageが合法化されたか、全部頭に入ってると言っていました(必要かどうかは別として)

ヨーロッパで遭遇した強いディベーターは例外なく圧倒的な知識に裏付けされたディベートをしていた、という印象を当時から強く持っていました。


思考のプロセスはインプットから始まる

これはわざわざ書くまでも無いのですが、知的生産のプロセスは大きく、

インプット➡プロセス➡アウトプット

の3ステップで行われます。


ディベートでいえば、

マター(何を言うか) ➡ マナー(どういうか)

ですかね。


この最初のステップである、インプットの質が低ければ、どれだけプロセス、アウトプット工程の技術が優れていようが、ごみしか生まれないのです。


どんだけ料理の腕が優れていようが、材料が腐っていたら美味しい料理が出来ないのと同じですね。


なのでインプットの質・量に関してはとことん突き詰めるべし、という信念のもとインプットに専念しました。



以上のように、ひとまず時間をじっくりかけて大量の知識を脳みそにぶち込む作業を開始しました。





2018年2月26日月曜日

[大会運営]ブレイクラウンドだけジャッジ参加ってオッケーなの?


先日のディベすすにて、「大会において、2日目だけジャッジする」ことに関する問題提起がされたようなので、簡単に私見を。

【1日参加が認められるようになった背景】

・以下3つのニーズを満たすため。
<大会側>大会によっては質の高いジャッジを確保するのが困難(特に社会人参加可の大会)
<ジャッジ側> 土日両日参加必須だと出場が難しいので1日だけの参加も許可してほしい
<参加者側>提供ジャッジ確保のため、1日ずつのジャッジ参加も許可してほしい

・原則として、1日目だけの参加も許可。ただし、提供ジャッジとしては0.5人としてカウント

・ACの判断によっては、2日目(ブレイクラウンド)だけの参加も許可(ジャッジテスト、予選ラウンド免除)


【ブレイクラウンドのみ参加の問題点】

①〔ジャッジの質の担保〕
過去に実績を残しているからといって、今も良いジャッジができるとは限らないのでは?


②〔ジャッジ間での公平性〕
他のジャッジが「ジャッジテスト→予選(ディベーター/ジャッジからのスコアリング)」という審査を受けている中、ACの独断でブレイクラウンドだけ審査をするのは不公平ではないか?


【ACがチェックをしていれば特に問題なし?】

個人の結論として、ACの判断であれば問題ない、という結論です。
ただし、条件付きで。

以下、理由です。
・ACは大会運営上の権限として、ジャッジの人事権を与えられている
・ジャッジの人事権に関しては、「何点以上であればブレイク」というようなブレイク権限に関する基準の設定も含む。かつ、ブレイクラウンドでのジャッジのアロケーションも原則ACが判断することから、ACはジャッジの招聘・選抜・配置に関して広範な裁量権(およびそれに伴う責任を持つ)
・「過去の実績」によるスクリーニングによって、最低限の質の担保はされている(ジャッジテスト免除も同様のロジック)
・2日目から参加のジャッジは、ジャッジブレイクの資格は当然持たない


但し、可能であれば以下のような措置が取られることが望ましいかと。

・ブレイクラウンドの最初のラウンドにて、以下条件の下ACが対象ジャッジのRFDを精査
① ジャッジが3名以上
② 対象ジャッジ以外のジャッジに最低1名はACを含む
③ AC含む過半数のジャッジは、予選時のスコア上位
④ Vote後、一番最初に対象ジャッジがRFDを説明。その内容をもって、ACの責任で判断

・大会直前にジャッジとして練習会に参加することを義務化(最低何ラウンドジャッジ、等)

・考慮するジャッジの実績は、過去3年程度のものに限定



簡単にですが、以上です。

今後の大会運営のお役に立つと幸いです(^^)

2018年2月25日日曜日

〔コラム〕 Leiden回想録 ③ ~ 英語力コンプレックスをこじらせて ~



【英語力コンプレックスの肥大化】

前回の記事で書いた通り、ヨーロッパで初めての大会(ベルリン IV)に出場し、チーム・個人成績ボロボロで、自分の中では英語力が一番の課題だという認識に至りました。

ベルリンIVで判明した課題は大きく2点。

 ① 発音に少し癖があり、特に速く話したときなどは、ジャッジに理解されない

 ② 相手の話していることが聞き取り切れないため、engage漏れが大量発生




さらにこの大会後に、EUDCの部内選抜があり、そこでさらにコンプレックスが悪化しました。

結論から言うと、私はDebaterとして出ることは叶わず、ジャッジで出場することになりました。

Leidenの看板を背負って、EUDCに出場するのは一つの目標だったので、少なからず悔しかったです。

そこで明らかにいつもわけわからないことを話していた(ごめんなさい)Leidenのメンバーが選抜を通っていて、さすがにショックでした。

選抜の方法に関しては、部外の第三者を招待してそれなりにフェアな条件で選抜をしていた(はず)なので、なおさら自身の英語が分かりづらいせいでいろいろと伝わっていないのだなと、テンション下がりました。




「テンション 下がる 画像」の画像検索結果



【英語の猛特訓を開始するも・・・】

オランダ人含め、ヨーロッパのEPL/ESL勢とまともにやり合うためには相当程度の英語力が必要だという結論に至り、早速英語力を鍛えるためのトレーニングを開始。


毎日PodcastでESL向けの英語教材を聞いてディクテーション・シャドーイングをしたり、大学受験時代に使っていた教材を引っ張り出してきて基礎例文を頭に叩き込みなおしたり、一時期は受験生の頃並に英語の勉強をしていました。

ディベートの知識のインプットも全部英語の媒体に変え、家にいるときは基本的にはYouTubeでディベートの動画を流していました。

とりあえず、生活の中から可能な限り日本語を排除し、英語を頭に大量に流し込むことだけを考えて生活をしていました。

脳みそがどうやって言語情報を処理しているのかも理解しようと、ネット上で観れる論文とかを漁ってみたり、ともかく思いつく限りのことを試してみました。





しかし、想像に難くないと思いますが、やっていく中で「なんで日本でも出来るような英語の勉強を、オランダでやっているんだろう」という根本的な疑念が頭をよぎり、長続きしませんでした。


そもそも、幼い頃からテレビで日常的に英語に触れてきているオランダ人に、純ジャパの私が数か月猛特訓したところで追いつくのは現実的でない、という非常に単純な話だったのです。


そのことに気付いて、さらにテンションが下がりました。



関連画像






【ディベートに勝つだけなら、英語力はそこそこで良い】


上述のように、「英語力を鍛える」という練習の方向性が間違ってたことに気づき、しばらくディベートが嫌になって練習を放棄し、ふらふらとヨーロッパを旅行してました。

もうどうやったって英語力では勝てないし、言ってる事わからない伝わらないし、ほどほどにディベートやってあとは好きなだけ旅行して日本に帰ろう、くらいの気分でした。



ただ、しばらく練習から離れていろいろと考えていく中で、そもそも英語力以外の部分で戦えればあとは何とかなるのでは、という発想に至りました。

・英語を話すことに関しては、今の英語力で話し方を工夫(ストラクチャーを整える、ゆっくり話す、等)することで、相当程度改善可能

・英語の聞き取りに関しては、極端な話、モーション見て相手がどんなことを話してきそうか予想が出来てしまえば、相手の英語が全部聞き取れなくても反論出来るし、勝てる。

・仮に反論できなくても、自分たちの立論がそもそも相手を上回っていれば、勝つことは出来る(良い悪いは別として)


ざっくりですが、以上のような考えから

「英語力を今以上に向上させることは諦めて、ディベートの技術や知識量で差別化を図る」

という方向へ練習の仕方を変えてみました。

ディベートの技術であれば、普段の練習で試行錯誤をすれば、比較的短期で効果が出るのでは、という考えがありました。

また、もともと本を読んだり新しいことを学ぶのは好きだったので、知識の面でなら、時間をかければそこそこのレベルで張り合えるのでは無いか、という淡い期待もありました。

そんなこんなで、やっと練習の方向性が定まり、あとは着々と努力を積み重ねるのみという状態になり、練習にも復帰するようになりました。








2018年2月11日日曜日

〔コラム〕 Leiden回想録 ② ~ ヨーロッパで初めての大会 Berlin IV ~


LDU(Leiden Debating Union)に参加して、その後も何回か練習に参加してたのですが、
当然普通に強い人が結構いて、何が起きたかよく分からぬまま虐殺される日々を過ごしていました。

2月にちょうどLeiden OpenというLDU主催の大会が実施され、入部早々英語もまともに話せない中、コミ兼ジャッジで駆りだされてへとへとになりました。

ちょうどイギリスに留学していた中国人の友人がLeiden Openに参加していたので、
なんとかぼっちは回避してソーシャルとかも乗り切りました。







【そうだ、ベルリンに行こう】

メンバー間のやりとりは、基本的にfbのメンバーページ上で行われ、そこで大会の告知がありました。

スプレッドシート上で直近の大会をリストアップしていて、出たい大会があれば、そこに各自がJudgeかSpeakerの欄に名前を記入する、という形式でした。

大会のリストを眺めながら、ひとまず直近では6月にベルリンで大会があったので、そこにエントリーしてみました。

ライデンからは1チーム+1ジャッジの3人で出場することになり、
運良くブレイクできたらなあ、なんて淡い期待を抱いていました。








【ベルリンへ.】

そんなこんなであっという間に出発日になり、いざベルリンへ。

前入りしたので、市内観光して、ビール飲みながらソーセージ食って、というベタなことを。

「ベルリン駅 画像」の画像検索結果
<ベルリン駅>

翌日がレジだったため、ホステルをチェックアウトし、会場へ。

到着すると、ドイツ人のコミの方々が温かく迎えてくれました。

そこで衝撃的だったのが、オランダ人の友人が、ドイツ人のコミと話す際に、お互い勝手に自国語でペラペラ話してコミュニケーションが成立していたことでした。

なんで分かんの?と聞いてみたら、ドイツ語とオランダ語はかなり似ているため、お互い話せはしなくても意味が分かるらしく。

そんなこんなでOpening Ceremonyの会場へ連行され、大会が始まりました。







【結果は....】

R1は、3位くらいでスタート。

R2, R3 は英語が聞き取れないし、結構苦しかったのですが、2位~3位らへんだった気がします。

ブレイクはさすがに厳しいだろうかなと思い、せめて最後は勝って終わろうと、R4に臨みました。

周りもよくわからん話をしていたので、1位か、せめて2位くらいは取れたのでは、とドヤ顔する準備して、ジャッジのcallを待ちました。



結果、、、





4位でした。



思わず聞き返しました。


「ンゴ 画像」の画像検索結果




結果はやっぱり、、、

4位ンゴ

「ンゴ 画像」の画像検索結果


RFDを聞いていたら、ほとんどこちらの話した内容が反映されていませんでした。

さすがにイラジャちゃうかと思い、ラウンド後にフィードバックをもらいに行くついでに
いろいろ聞いてみました。

ジャッジ曰く、

「うーん、変なアクセントで早く話してるから、何言ってるか分からんかった☆」

「次からはもっとゆっくり話そう」

とのこと。

涙腺崩壊5秒前でした。


大会終わってみて、スピーカースコア確認したところ、下から観たらベストスピーカーもらえる順位。

挙句の果てに、ディベート初めて3か月のチームメイトよりも点数が低いという、先が思いやられるスタートでした。







【焦り】

そんなこんなでボコボコにされた大会もあっという間に終わって、ライデンの人らとはベルリン駅でバイバイし、一人で旅行でチェコへ向かいました。

チェコへ向かう列車の中で、まずは英語力を何とかせねば、と自分の中で焦りが芽生えていました。

2018年2月3日土曜日

〔コラム〕Leiden回想録 ① ~ オランダでディベート始めました ~


先日、昔の記事をだらだら見返していて、意外とLeidenにいた頃の体験談的な話は書いていなかったのだなと気づき、せっかくなんで朧げな記憶をたどりつつ、その時の経験を何とか言葉として紡げれば、と思います。

もう5年も前の話になるので、覚えていることだけつらつらと。

今後留学先とかでディベートをする人がいれば、その際の参考になればと。
日本のディベートという大きな枠組みで考えると、これから海外でディベートをやる人が増えることは間違いなくプラスになるとも思っておりますため、その一助になればという気持ちもあります。



【Leiden Debating Unionに参加するまで】

オランダに留学をしたのは、ちょうど今から5年前の2013年2月、大学生活2年目が終了しようとしていた頃でした。

日本にいるうちに、ライデンのディベート部をググって、メールで参加できないか聞いてみました。

オランダ人は返信が遅いと聞いていたのですが、1週間もしないうちに返信が来て、welcomeだからいつでも来てくれ、と言われ、ひとまず入部はすんなりと行きました。

大学によっては、入部のためのセレクションとかあるところもあるらしいので、事前に確認しといて良かったです。


ライデン大学の法学部棟の教室を借りて練習をしていたため、授業後に指定された教室に向かいました。

「ライデン大学 法学部」の画像検索結果
<法学部棟>

「ライデン大学 法学部」の画像検索結果
<オサレな図書館>


オランダ人だらけのディベート部に日本人単身で乗り込んだわけですが、初日は尋常じゃないくらい緊張して、ガチガチだったのを今でも覚えています。

30分くらい前に法学部棟につき、意味もなく同じところをぐるぐる徘徊していたため、警備員のおじさんに目はさぞ不審に見えたでしょう。

そんなこんなで時間になり、指定の教室まで行き、おそるおそるドアを開けてみたところ、「あなたがメールしてくれた留学生ね?」みたいなテンションで、温かく迎えてもらい、ライデンでのディベート生活がスタートしました。




【初めてのラウンドで1位を取り、調子に乗る】

練習は基本的に、1日2ラウンドやって、それぞれフィードバックをもらう、という、日本の大学と変わらないものでした。

初めてのラウンドでは、ディベートを始めたばかりのオランダ人の子とチームを組み、とりあえずラウンドが始まりました。

モーションは、THW criminalize ~って感じの、prostitutionでサービスを購入した人間を罰しましょう、みたいなモーションで、ポジションは確かCGでした。


Leiden Debating Union (以下LDU)はヨーロッパでかなりの強豪で、少なくともESLではトップクラスのレベルという認識だったので、恐怖で漏らしそうでした。

直前のベルリンワールズのESL Finalでは、4チーム中2チームがLeidenという異様な光景を目撃していたので、なおさら緊張していました。

幸か不幸か、最初のラウンドではESL Finalにいた人たちは同じラウンドにはいませんでしたが、それでもみんな強いのだろうと思い、がちがちでラウンドに。


いざラウンドが始まって、どんなことを話すか全神経を集中させて聞きました。

聞いていたのですが・・・





何言っているか分からない。







英語力の問題か、とも思ったのですが、少なくとも単語とかは最低限は聞き取れていて内容もなんとなく理解はできる。

ただ、なんでその話をこのモーションでしているのかわからない。


prostitutionのモーションで、「正義とは」みたいなふわふわした話を、7分間全力で話して、ドヤ顔をして帰っていく。


「これがヨーロッパのディベートか」と衝撃を受け、頭が混乱してとてもスピーチができる状態ではなかったです。

とはいえ、そんなことも言ってられず、ごくごく当たり前の話を、へたくそな英語で話して帰ってきました。

ラウンド全体で何が起きているのか理解できず、「これは4位か・・・」と思いました。

Decisionを聞くと。






1位。








ファッ!?


って感じでした。






「ファッ」の画像検索結果




ジャッジ(上述のESL Final出てた人の1人)いわく、

・お前のチームは、分析浅いけど、抑えるべきポイントは最低限説明していた
・他の人は何言ってるかよくわからんかった

みたいな感じでした。



ドヤ顔+英語力の組み合わせ凶悪すぎな。と思いました。

次のラウンドも2位かなんかで、意外となんとかなるやん、って調子乗ったのを覚えています。


まあ、調子に乗った人間の末路なんて、ロクなことが無い、というのが世の常ですね。

のちのちそんなのんきな自分の顔面にハイキックを食らわせたくなるのですが、その話はまた次回以降に。