2014年12月11日木曜日

”噛みつき”のススメ?


こんばんわ。。

このブログが順調に就活からの現実逃避先になってます...


まーそれは置いといて、今回は「ディベーターがジャッジのDecision/RFDに納得できない時にどう対応するか?」ということについて思ったことをダラダラ書いていこうと思います。

RFDに納得できない時って感覚ベースだと、大きく分けてジャッジへの不満・怒りが爆発するか、失望するか萎えてもういいやってなる、の2パターンのリアクションがメインじゃないかな―と思います。

まだ他にも、発狂したり、眠くなったり、お腹すいたり、バンジージャンプしたくなったりいろいろあるかもしれないですが、とりあえずここでは話を分かり易くするため便宜的に2種類と仮定して話します。。



1.ジャッジに噛みつくタイプ

ラウンド後にしっかりと説明を求めるタイプのディベーター。
この場合、以下のような理由や考えがあるのかなーと思います。

①自分が納得するまで説明を求めて、自分の中でどこを改善すべきでどこは今のままで良いのか厳密にはっきりさせたい。

②ジャッジは自身が下したdecisionに対して、debaterが納得するまで説明する責任がある

③少なくとも自分が十分と思えるレベルまで説明していたのに、ジャッジがその部分の話を理解していなかったのはジャッジとして責任があり、追及されてしかるべき

④しっかりとジャッジに対して説明を求めるという環境そのものが、ジャッジが悔しくて頑張ろうと思ったり、もっと練習しようと思ったりという成長機会につながる。



2.ジャッジに噛みつかないタイプ

ラウンド後はそれ以上RFDに関して深入りはせず、feedbackだけもらったり、evaluation sheetに思ったこと書いてそのままORに直行したりするタイプです。(僕はどちらかというとこっちのタイプです笑)
この場合は以下のような理由や考えがありうるかなーと、ちょっと主観が強いかもしれませんが。

①いくら噛みついてもdecision変わんないからもういいや。。
時間もったいないからそれだったら次のラウンドに備えて寝るか気分転換する笑

②ジャッジも完璧じゃないしたまにはミスすることもある

③ジャッジを説得できなかったのはとりあえずディベーター側として説明が不十分だったから、ジャッジに多かれ少なかれ問題あったとしてもまあ自分が悪い。

④厳しく問いつめて、今後もうジャッジしたくないとかディベートやめたいとかいう人が増えてほしくない




とまあ大雑把にこんな感じかなーと思います。。



どっちが”良い”対応なのか?


ダラダラ書いてみて何が言いたいかというと、どちらが”良い”対応なのでしょうか?

僕自身としては、割と最近までは噛みついても時間と体力の無駄なんじゃないかって考えていて、それだったら悪かったって明らかな点に関してはどういやって改善できるかっていう部分に時間を使った方が合理的かなーと考えてました。


つい最近までは、というのは今年のBPシーズンは特にいろいろこういうことに関して考え直す機会があったので自省も込めていろいろ思考を巡らせているのですが。


ただ、ジャッジに対してソフトなスタンスを取りすぎるのも、極端な話ですが緊張感がガクッと落ちて、真剣にジャッジをする人が増えるかもなーとも思ったり。(もちろん意図的ではなく無意識に)


あと僕自身がジャッジに対して噛みつかない理由は、掘り下げてみると上に書いたような理由ばかりではなく、無意識のうちに自分がジャッジした時に噛みつかれるのが嫌だから保険かけているようなコスい部分もあるような気もします....
(普段あんまりジャッジを批判したりすると、自分がジャッジでシクった時その分ブーメランとして帰ってきますから笑)

あとは自分の考えの前提にあるのが、「あまり厳しく追及し過ぎると、ジャッジの人が心が折れて諦めてしまうかも」という相手を信頼していないような部分があって、果たしてそれも自分は何様のつもりなんだろうかとも思ったり...

それよりかは、「厳しく追及しても、辛い気持ちををバネにしてこれから成長してくれるはずだ」っていう期待のもとで敢えて厳しく説明を求めた方が、ある意味健全な関係に見えなくもないです。

どっちが良いんでしょうねえ...

答えになっていないかもしれませんが、究極的には「ケースバイケース」なのでしょう。
ジャッジの人の性格に合わせて、その時にバランスよく「噛みつけ」たら、お互いにとっても生産的なやり取りになると思います。

もちろん現実ではそんな風に上手くできないから難しいんですが(笑)



いずれにせよ、どういった場合でも意識した方が良いと思うのは、「噛みつく」のもあくまでディベートと同じでコミュニケーションの一貫ですし、相手の立場も考慮する心の余裕が大切かもしれませんね。

ジャッジの人もほとんどの場合好きでディベーターの納得できないdecisionを出したわけでもないでしょうし、実力に関してはジャッジの経験や学年や練習環境など本人にもどうしようもない要素も絡みます。

逆にディベーターだって人によってはその大会のために並々ならぬ努力をして、そのdecision一つでそれが結果に結びつかなくなることもあるわけで、そういう人はもちろん納得できずに負けたらやるせないでしょうし。


とまあ何の解決策にもなってない妄言で終わってしまいそうですが、この記事で言いたかったのは、あまりこういうことが議論になってるのを見たことなかったので、こういうことにフォーカスしていろいろ考えてみたり意見交換するのも面白いのかなーと思ったので、そのきっかけになればというところです。

でわでわ。







2014年12月9日火曜日

凌霜杯(2) -次のステップに進むために-


凌霜に関する記事の続きです。
今回のモーションの意図のようなものに関して書きました。


【「そもそも論」を大切にしてほしい】

今回モーションを出すうえで意識したのは、明確な答えが無いような問題についてもう一度ゼロベースで自分で考える機会を提供するということです。

例えば、ヘイトスピーチは、free speechを規制するようなmotionで当たり前のようにアナロジーとして使われますが、そもそも日本とかアメリカはヘイトスピーチ法持たないです。
そもそもヘイトスピーチがなんで法律で規制されるべきなのか?とか、ヘイトスピーチと友達のことを「バカ!」と罵るのはどう違うのか?とか、Will Jonesのナチシンボルのスピーチ他のモーションで上手く活用できますか?とか(笑)

ジュリアンブランクのモーションだったら、そもそも国家が恣意的に入国拒否して良いのか?、何か客観的な基準は必要ないのか?、必要だとしたらどんな基準が日本にとって理想的なのか?

割といろいろな問いかけを含意したつもりです。


あと特に、1年生も結構参加していて、ちょうどディベートに慣れ始めた時期というのもあって、もう一度自分の頭でゼロから考えるということを意識してほしかったっていう意図もあります。



【日本人と"Principle"と”線引き合戦”】

もう少しspecificな問題意識として、日本人はアナロジー合戦に終始し過ぎだという印象を持っています。

いわゆる「フィロ」の議論をするとき(ここでは便宜的に”フィロ””プラクティカル”の二分論を前提とします)、線引きをしなければとあわててアナロジーを探し出すのですが、そもそもなんで線を引いているのか?、その線引き自体に妥当性がどの程度あるのか?、っていう部分に関してうまく説明できる人がとても少ない印象です。

Judge Briefingでも話しましたが、今回のジャッジテストのCGがたくさんアナロジーを出していた点や、また多くのジャッジテストを提出してくださった方がそこを過剰に評価していた点も、そういう問題の一面なのかなと思ってます。

原因としては、おそらう日本人がそもそもそのような議論が苦手である(?)ということ(http://www.huffingtonpost.jp/rootport/discuss_b_4917090.html)や、
日本のディベート界にに独特なフレームワークである"Tripple A"などの普及などによって、必要以上にアナロジーの側面が強調されていることなどが関係しているかもしれません。


例えば、ジュリアンブランクのモーションでGov.は他の国が入国拒否したり、中国が政治的信条で国が入国拒否している例などをアナロジーとして出していました。
そもそもそれらの例は基準として普遍化された時妥当なものなのでしょうか?
これは個人的な疑問なのですが、そもそも国民の一定数の署名で入国拒否できたり、政治的な信条で拒否出来るってすごく怖いもののような気がしました。
国内の多数派の考えに一致しない考えの持ち主は安易に拒否されうるし、その時の権力が気に入らない思想を持っていれば国から追い出せるという、国家権力を抑制するっていう観点から考えるとヤバそうだなと。
(もちろんそのアイディアを今回のモーションの否定につなげるという点では少し工夫が必要でしょうけど。。)


GFのTHW require international development aid budgets to be approved by popular referenda.のモーションに関して、「間接民主制を原則とする政治体制の中で、どういう時にレファレンダムという直接民主制に近い制度を導入するのか」という問いがかなり大事な論点になるわけですが、GFもかなり線引き合戦になっていた印象でした。

というのも、現状でEU加入や憲法改正の時にレファレンダムが行われているという「事実」から、それらしきレファレンダムの基準を取り出してきて、今回のinternational aid budgetがそれに当てはまるか否かというクラッシュになっていました。




これは感覚ベースの話で誤解だったらすみませんなのですが、フィロには必ずアナロジーが必要であるといった誤った認識が一定程度広まっている気がします。

しかし、基本的にフィロはその性質上アナロジーを必ずしも必要としません。

もちろん説得力を上げるためにアナロジーがあった方がベターであるという場面は多く存在しますが、それは普通のアー
ギュメントに関してexampleがあったほうが良い場面と、なくても問題がない状況があるのと同じことで、何もフィロに特別なことではありません。

アナロジーが常に必要なら、progressiveな政策をサポートしなければいけないGov.は100%勝てません。
クォータ制がとられていなかった時代にTHW introduce female quotaのディベートをするとGov.が勝てないということになってしまいます(笑)


例えば今回のGFのレファレンダムの基準に関して、Govは既存のexampleに頼って基準を設定しても、どうしてもinternational aid budgetっていうものをレファレンダムの基準の内部に落としこむのは難しかったかもしれません。

そうなったときに、そもそも民主主義っていうのが民意の反映っていうことを重視しているのに、現状レファレンダムがこんなに少ないのはなぜなのか?、もっとレファレンダムを採用して国民の意見をより反映させた方がDemocracyとしては良いのではないか?、っていう疑問が出れば、「民主主義」っていう第一原理から、理想的な民主主義像、そこから新しいレファレンダムのフレームワークを導出するということも可能であると思います。

難しいのは、全ての国家の意思決定をを国投票でやるということは効率性と実現可能性の観点から困難なので(だからベースは間接民主制)、じゃあどうやってpriorityをつけてレファレンダムを採用していくか、という部分に関して、説得力のあるフィロが必要になってくると思います。


ちなみに補足しておくと、スイスとかはレファレンダムをバンバンやっているので、一応exampleもあります(笑)
<参照>
http://www.swissinfo.ch/jpn/%E4%B8%96%E7%95%8C%E4%B8%80%E6%8A%95%E7%A5%A8%E6%89%80%E3%81%AB%E9%80%9A%E3%81%86%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%82%B9%E4%BA%BA/8235846



まとめますと、アナロジーを投げる前に、そのアナロジーは何をサポートしているのか、そのアナロジーの存在はモーションの肯定/否定において本当に重要なのか、常に批判的に考えることが大切です。

なので、フィロの議論をする際に、すぐアナロジー探したりTriple Aにはめ込もうとしないで、普通のアーギュメントと同じように、「主張、根拠、前提」ベースで考えていくと良いのではないかと思います。

現実世界で採用されている基準が必ずしも理想的なものであるとは限らないということ、必要であればそれを疑って、より理想に近いフィロを創造することを恐れないでほしいということです。

そこに「線引き合戦以上」の、フィロの議論の面白さがあると思います。

今回出したモーションがこういうことを再考するきっかけになれば幸いです。

でわでわ



凌霜杯(1) -モーション解説-


先月は凌霜杯お疲れ様でした。
今回はCAを務めさせてもらって、力足らずでいろいろご迷惑かけたりしてしまったこともありましたが、その一方で楽しかったって言ってくださる方もいて素直に嬉しかったです、ありがとうございました。
ACのメンバー、コミやランナーの方たちもお疲れ様でした、本当にいろいろ助けられました。

今回は出したモーションについて、特に僕が個人的に出したいって言ったモーションに関して簡単な説明とその意図を書いていければなと思います。


【Motions】 
R1: THW require isolated communities to introduce "Rumspringa."
R2: In states where hate speech is illegal, THW abolish hate speech laws.
R3: THBT Japanese government should refuse Julian Blanc to cross its border.
R4: THBT developing nations should prohibit slum tourism.
QF: Assuming technology exists, THW incapacitate juries from recognizing the racial/ethnic background of suspected criminals and victims.
SF THW give up the Euro.
Rookie GF: THW allow minors to take gender reassignment surgery without parental consent.
GF: THW require international development aid budgets to be approved by popular referenda.


そのうち
R2: In states where hate speech is illegal, THW abolish hate speech laws.
R3: THBT Japanese government should refuse Julian Blanc to cross its border.
SF THW give up the Euro.
GF: THW require international development aid budgets to be approved by popular referenda.

の4つは割と個人として出したいと言って出させてもらったモーションです(笑)

R2: In states where hate speech is illegal, THW abolish hate speech laws.
ディベーターならおなじみヘイトスピーチです。
Gov.は主にヘイトスピーチ法のabuseの危険性とか、public discourseの話とかが出来ると思います。
たしかどっかの国でマイノリティへの国の補助を「特権」とコラムで記した人がヘイトスピーチ法の適用を受けたとかいう事件もありました、興味ある方は調べてみて下さい^^
Opp.はそのままヘイトスピーチがなんで禁止すべきなのか、またもっとマクロにどういう時にfree speechを制限できるのかということ。
あとは、ほんとにヘイトスピーチ法がないとそういう事件に対処できないのかっていう話も出せるかと。
例えば、在特会が朝鮮学校の前で半ば脅しに近いヘイトスピーチをしていたのは、本来だったら威圧業務妨害とかで対応できるそうです。

<参考>


R3: THBT Japanese government should refuse Julian Blanc to cross its border.
ジュリアンブランクってYouTubeで調べたらいろいろ面白い動画が出てきます。
いろいろ問題発言して、その件に関して一応謝罪はしてるみたいです、本当に反省しているかは謎ですが(笑)
これはオーストラリアやイギリスでは入国を拒否されて、日本の外務省は相変わらずあいまいなスタンスを取っているようで。
どういう時に入国を拒否できるか、もしくはどういう時に拒否すべきか。
特にジュリアンブランクみたいにそもそも犯罪者かどうかわからなかったり、民間人の思想(?)をもとにどこまで国が権力を行使して良いのか。
いろいろ考えていくと面白い論点だと思います。


SF THW give up the Euro.
ユーロについての基本的な理解を問うある意味超ストレートな論題です。
僕自身経済に関してそれほど深い理解があるわけではないので踏み込んだ話はあえて言及しませんが、ユーロの構造的問題として、ECBが金融政策を域内で一括して行っているのにも関わらず、各国が財政政策を自分の好きなようにやっていて、普通の国でやっているように金融政策と財政政策の足並みをそろえて対応できないという点があると思います。
あとはユーロを廃止した際に、EUというpolitical unionにどういう影響があるかという話も出来るかなーと思います。
興味のある人は以下のリンクを参考にしてみて下さい、ユーロに関する解説記事と、実際に同じ論題でステファニーベルとかトップディベーターが議論している動画です。。

<参考>
http://marketplace-debate.blogspot.jp/2011/12/part-1.html
http://marketplace-debate.blogspot.jp/2011/12/part-2.html
http://marketplace-debate.blogspot.jp/2011/12/part-3.html

https://www.youtube.com/watch?v=8K222vPeflg


GF: THW require international development aid budgets to be approved by popular referenda.

去年のEuroのモーションから引っ張ってきました。
Aidとdemocracyは日本人が結構苦手なのではないかと思っていたので出しました。
Aidに関しては、募金して「いいことをした」っていう満足感を得てる人はたくさんいるけど、じゃあその自分が募金したお金っていうのが本当に意図したとおりに届いているのか、もしかしたら自分の寄付したお金がさらなる紛争や悲劇を招いていないか、っていうことまで考えて募金している人がどれだけいるのか、っていう個人駅な問題意識がありました。
(別に募金とか援助全体に反対という極端な意見を持っているわけではないです笑)

レファレンダムっていうのも、現状で民主主義っていうのがRepresentationとefficiencyってのがどういうバランスで動いているのか、また今後どういう民主主義の形をとっていくべきなのか、っていうのを問う上では良い切り口だと考えました。

援助については、僕もそこまでじっくり読めてはいないのですが、以下の書籍が面白いと思うので興味あったらぜひ読んでみて下さい。

<参考>
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%A9%E3%83%90%E3%83%B3%E2%80%95%E7%B4%9B%E4%BA%89%E5%9C%B0%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E4%BA%BA%E9%81%93%E6%8F%B4%E5%8A%A9%E3%81%AE%E7%9C%9F%E5%AE%9F-%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%80-%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%83%B3/dp/4492212035




ざっくりとですが、モーションに関する説明でした。。
次の記事で今回のモーションの意図について書くので興味があればそちらも読んでいただければと思います^^