Parliamentary Debateという即興型英語ディベートに関して、思ったことをつらつらと、気の向くままに吠え綴ります。 Debateという眼鏡を通して、人間とか社会とかといふものについて考察してみるBlog
2015年5月8日金曜日
春T GF ③ 個人的RFD補足
春T GF② GFの個人的RFDの補足です。
(motion:THBT a fetus harmed in a criminal attack should be considered as a victim of crime in its own right.)
前回はGFでメインとなっていたと思われるイシューにフォーカスして書いたので全体感に欠けていたようにも思えるので、あまり明示的に触れなかったイシューについて書いていければと思います。
1.practicalのイシューについて
主にGov.からいくつかのpracticalのbenefitが説明されており、かつ反論もそれほど多くされていなかったため、ポイントとしては有効と判断しました。
しかし、どれもmotionの肯定につながるほどdevelopされていなかったり、mechanism,impacなどに関して説明不足だったこともあり、ディベートの勝敗を決める上ではそこまで重要と評価しませんでした。
前回の記事で書いたメインのイシューでどうしても差がつけられなかった場合などには、Gov.を優位に評価する理由になりえたと思います。
2.アナロジー/Exampleについて
ラウンドの中で出ていたアナロジーの評価について。
これは去年の凌霜でCAをさせてもらった時にも言ったのですが、アナロジーがあるだけで安易にそのアーギュメント全体を評価する人が多いと感じたので、ここで改めて具体的にアナロジーをどう評価するべきか(正確には僕がどうやって評価しているか笑) という部分を言語化して、少しでも誰かの参考になればと思います。
(凌霜杯(2) -次のステップに進むために-)
・intergenerational responsibility
→胎児には人間と同等の権利が認められないにしても、一定程度権利が認められている、という主張の流れの中でexampleとして出されていました。
ここはジャッジとして、「現実世界において胎児に何かしらの権利が存在しうること」までは証明しきれていた」、と同時に、「そのintergenerational responsibilityがそもそもなぜ認められているのかという理由の部分の説明が不足していた(説得的でなかった)」というように判断しました。
ので、ここのアナロジーだkではGov.のケースが完全に成立するとまでは評価しきれませんでした。
-animal rights
DPMが、Opp.のmembershipのフィロへの反論として出したcounter-exampleとして出していました。
Opp.は、「membershipは生きている人間に認められ、それに付随して種々の権利はmemberに優先して認められるべきだから、胎児の権利は優先順位として下げられうる」という内容を話していました。
ジャッジとして、「反論としては有効だが、Gov.のケースの肯定までは結びついていない」というように評価しました。
まず反論として有効というのは、Opp.のmembershipという原則論的なアーギュメントに対して、例外の存在を示すことで、その普遍性を崩したという点で評価しました。
もう一つは、反論として提示されたものの、これがGov.のケースのをサポートするexampleとして機能している可能性もあったので、そこもジャッジとして検証しました。
これは、ジャッジの介入がどこまで求められるかという議論とも関連するとも考えたので触れました。
個人的な考えですが、ジャッジはディベーターが反論として提示したから機械的に反論としてしか評価しないというものではなく、柔軟にaverage intelligent voterとして許される範囲で”介入”し、考え得る可能性について検証することを怠るべきではないと思います。
BPのジャッジにおいて、反論とかもnewかつimportantなマターであれば、積極的にextensionとして評価すべきという考え方に近いかもしれません。
今回はanimal rightsと胎児のrelevancy/applicabilityに関してほぼ説明が無かったため、今回ディベートにおいて、Gov.の守ろうとしている胎児の権利をサポートするほどのanalysisではなかったと考えました。
ちなみに、ここをもっと介入しようとすると、「animal rightsのオーソドックスな理論的基盤には功利主義的な正当化と権利論的な正当化があり、胎児の権利はどちらの立場に立っても認められなさそうだから...」というように介入することも可能でしょう。
さすがにここまでやるとaverage intelligent voterとして介入し過ぎだと思います。
(ある種専門的な知識を解釈に持ち込んでいるので。。)
ここで言いたかったことは、一般的に日本のジャッジはもう少し積極的にジャッジとして介入しても良いのではないかなーと思う反面、介入するにしても常にどこまでが”必要かつ許容される介入”なのかを常に意識してほしい、ということです^^
-abortion
このディベートでGov.はabortionに真っ向からopposeし、Opp.はabortionは認められるべきというスタンスを取り、真っ向から対立していました。
ここについて、
・「abortionが認められるべきか否か」というイシューは、今回のモーションの肯定/否定に直接つながるイシューではない
・しかし両サイドがabortionに対して取っているスタンスの背後にある理由は、今回のモーションに関係する範囲において判断材料足り得る
ということが言えると思います。
ここについては、「abortionが認められるべきか否かは判断出来ないが、スタンスとしてはOpp.の方が説得的だと判断した」という感じです。
前半については、現実社会で割とcontroversialな問題なのと、モーションに直結するイシューじゃないので軽く流しました。
後半について、前々回の記事で書いた通り、abortionにopposeするGov.の説明は女性の権利を無視したうえでoffensiveなスタンスを取っていたのに対し、Opp.は女性の権利を考慮した上でabortionが認められるべきだというスタンスをとっていたため、後者のスタンスの方が説得的だと感じました。
Opp.も胎児の権利をなぜ侵害して良いのかについてengageしていなかったので、ややOpp.よりに話を取っているように見えるかもしれません。
しいて言うなら、Gov.のややラディカルな前提に基づいたreasoningより、Opp.の方が現実に沿っていて相対的に説得的だと感じたため、と言ったところでしょうか。
3.offensiveなアーギュメントへの対応
offensiveな表現に直面した時、ジャッジとしてどう対応すべきか。
結論から言うと、「そこのアーギュメントが無かったもの、もしくは全く説得的でないもの」、と評価してラウンド全体を評価する、ということになると思います。
ここで注意したいのは、offensiveな表現を見つけたからと言ってそのチーム自動的に負けにしてはいけない、ということです。
理由は、equity violationに対する罰則や調査などはequity officerの仕事であって、ラウンドの中でジャッジが罰するということは許されていないからです。
(記憶が正しければ、ライデン時代にKarin(WUDC2017のCA)のジャッジレクチャーを受けた時に言われたことなんで間違いはないと思うのですが、ちょっと確証がないので関連資料等知ってる方がいらっしゃったら裏付けを取って頂けると幸いです。。。)
昔自分もジャッジしたときにoffensiveな表現を見てそれだけで負けをつけようとしたことがあったので、もしかしたらそこらへんの対応の仕方が曖昧な人もいると思ったので補足として書きました。
今回のGFのdecisionも、「offensiveだからGov.負け」という短絡的なものではなく、
「offensiveな表現がされていた部分が、ov.のケースにとって最も重要なアーギュメントであり、そこの説得力を失った結果、相対的にOpp.のケースの方がより説得的だと考えた」という流れでジャッジしました。
8-1と盛大にマイナーしたので、そこは感情に任せてジャッジしたのではなく一応ジャッジとして出来る限り考えて出したという弁明をしておきたかった部分も正直ありますが(笑)
正直GFの途中は感情に任せてvoteしたくなりましたが、昔の失敗とレクチャーで教わったことが脳裏をよぎったので、Gov.が勝ちうる理由も自分なりに考えられるだけ考えました。
割とストレスでしたが(笑)
まあそこは置いといて、今後ラウンドの中でequity violationだと考えられる話を聞いても、冷静にジャッジとしては全体的かつ公平に評価をして、violationについてはフィードバックで注意を促すか、equity officerに訴え出るかという対応を取るのが適切かと。。
以上がGFのRFDに関する記事の補足でした。
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